6月に入り喘息で辛い思いをしている方と会う機会が多くなりました。
そこで、知っていると役立つ『家庭で出来る喘息ケア』についてお話ししてみたいと思います。
■喘息とは?
喘息は、気管が細くなる事で起こる呼気性の呼吸困難です。 呼気というのは吐く時の事。つまり吐くのがとても辛い呼吸困難です。
そこで、気道が狭くなる原因の一つである気管支平滑筋の収縮に注目してみましょう
■筋肉の収縮から考えるケア
気管を取り巻くように存在する平滑筋は、自律神経に支配されています。この平滑筋は、交感神経が優位になると(緊張すると)ゆるんで気管を広げます。反対に副交感神経(リラックス状態)だと収縮し気管を狭めます。
つまり、寝ている時(リラックスしている)は空気を多く必要としないので気管が縮み、走るなど興奮時は空気が沢山必要なので気管を広げ、空気を沢山吸える様になっている・・・といった感じです。
なので、喘息発作の時は、リラックスして寝ているよりも体を起こし、少し緊張感があった方がいいというわけです。
■実際のケアのコツ
では、実際には家庭でどんなケアが出来るのでしょうか?
『交感神経を優位にする』のがポイントです。
緊張状態を作り出すためには、冷水の飲用や背中をトントンと刺激します。
冷水による刺激は気管の粘膜のむくみを鎮め、さらに炎症による痰などを出しやすくしてくれます。
冷水を飲用した後に背中をトントン(手をカップ状にして少し強めに)すると気管支にへばりついた痰は、はがれやすくなります。
また、喘息は呼気性の呼吸困難ですので吸ったはいいけど上手く吐けません。
例えるなら、風船を大きくふくらませした後、空気を一気に出せない感じです。
その時、風船の口をすぼめてゆっくり少しずつ空気を出すとス~と空気は抜けていきますよね。 一気に出そうとすると風船はブルブルブルと音を立ててなんとも辛そう・・・。
風船と同じで、口をすぼめて空気を出してあげればスムーズに息を吐くことが出来ます。
これが、喘息の呼吸を整える方法です。
また、胸に耳を当ててみて下さい。
息を吐く時に『キュー、キュー』と聞こえる時はすぐに病院に行きましょう。
※聴診器がなくても分かります。
この音は気管が収縮し息を吐き出すことが難しくなっている時の音です。特に喘息のお子さんをお持ちのお母さんは、なんでもない時にもお子さんの胸に耳を当てて呼吸の音を聞いておくと、発作が起きた時、違いが分かるので早めに対応が出来ます。
■ケアのまとめ
発作時は、まず体をお越し、冷水を飲ませ、背中をトントンする。但し、自己判断はせず必ず病院に行きましょう。
■ここに注意
リラックスさせたいと精油を使う人も増えています。
ですが、喘息の時は要注意!
辛そうにしている姿を見て、何とか休ませてあげたいと思っても、鎮静作用の強い精油は注意が必要です。特にラベンダーの酢酸リナリルという芳香成分にはとても緊張を緩める力が強く、喘息の人には使わないほうが良いでしょう。カモミール・ローマンという精油も注意です。
家族に喘息がいる人は、ユーカリ・ラジアタやローズマリーといった少しシャッキっとする精油にして下さい。これらの精油は1.8シネオールという芳香成分を含みますので、痰などの分泌物を出す手伝いもしてくれます。
また、発作への不安が大きい人は、フランキンセンスという精油をお守り代わりに持っているといいでしょう。
■タッチングケアでリズムを整える
吸って~ 吐いて~というリズム。
いつもは意識しない『呼吸のリズム』が乱れた時、人は恐怖を感じます。
そんな時は、そばに居る人がリズムを取ってあげて下さい!
『吸って~。吐いて~。』 と
言葉をかけてリズムを整えてあげてもいいです。
その時、あなたは無意識に相手の肩や背中に『手』を添えている事でしょう。
何とかしてあげたいと思う気持ちはとっさに『触れるケア』となり不安を安心に変えます。
この様に家庭で出来る事は沢山あります。
家庭で出来る看護、実践してみて下さい。
小さいお子さんのいるご家庭でしたら、まずは、お子さんの胸に耳を当ててみる事からはじめてみて下さい。お母さんのそういった関心を寄せる姿は『呼吸が苦しい』という体験をしているお子さんの不安を安心に変える事になるでしょう。